開発資金が枯渇寸前だったGnuPG、資金調達に成功 26
マーケティングも大事 部門より
暗号化ソフトウェアGNU Privacy Guard(GnuPG)の開発資金が枯渇していることをProPublicaが紹介したところ、短期間で寄付が集まり資金調達に成功したそうだ(ProPublica、Slashdot記事1、Slashdot記事2)。
GnuPGを開発したのはドイツのWerner Koch氏。1997年、米国で輸出が規制されているPGPに代わる暗号化ソフトウェアの開発を呼びかけたRichard M. Stallman氏のドイツでの講演に触発され、Koch氏はGnuPGを開発。1999年にはドイツ政府の資金援助を受けてプログラマーを1名雇い、Windows版も開発された。2005年にもドイツ政府からの別の資金援助を受けることになったが、資金援助は2010年に打ち切られる。
その後もKoch氏はプログラマーに給料を支払っていたが新たな資金は得られず、2012年にプログラマーを解雇。2013年には自身も開発を中止するつもりでいたが、エドワード・スノーデン氏による内部告発を知って開発の継続を決意したそうだ。昨年12月には2名の開発者でプロジェクトを運営するのに必要な12万ユーロの資金調達を目指して寄付を呼びかけたが、調達できた資金は目標の3分の1にも満たなかったという。
この件に関する記事がProPublicaに掲載されたのは2月5日。その後1日で12万ユーロを超える寄付が集まったそうだ。また、Core Infrastructure Initiativeによる6万ドルの資金援助を受けることが決まったほか、FacebookとStripeが年間それぞれ5万ドルの資金援助を表明している。
寄付の心理 (スコア:4, 興味深い)
OSSプロジェクトで寄付が集まりにくい理由はいくつかあるけれども、
一番の理由は「自分だけが損する可能性があるから」じゃないかなと思います。
たとえ自分が少額寄付しても、それだけでプロジェクトが進むわけじゃない。
沢山の人が寄付してくれないとプロジェクトにとって資金として不十分で、ある意味自分の払った寄付が無駄になってしまう。
その点大富豪とかの寄付を頻繁に見かけるのは「自分の寄付でプロジェクトが動くから」ということもあるのだと思います。
人間、結果が見えない投資よりも見える投資の方がやりやすいものです。
ところで、先日 https://snowdrift.coop/ [snowdrift.coop] というサービスをみつけました。
「他の人が寄付するなら自分も寄付する」を実現するもののようです。
具体的には、例えばあるプロジェクトについて、参加者1人毎に0.2ドル払うということに自分が同意すると、
同じ条件に同意した他の参加者が増える毎に自分の寄付額(と、もちろん他の人の額も)が上っていく(もちろん上限設定できます)、という仕組みのようです。
今のところこのサービスはまだテスト中の段階で、実際にお金を集めているわけではないようですが、まずは自給自足を目指すみたいです。
果してうまくいくでしょうか?
Re: (スコア:0)
そやね,その手法そのものの解析を細かくする前に,おおまかな理屈を知っとくと全体が見えやすいで.
というのも,
「率先して寄付するとその人が損する可能性が」
「けど,誰も寄付しないと皆が損する」
ってのはゲーム理論では古典の公共財問題そのものなんよ.
解決というか,まあなんとかならんか,という提案は沢山あるのでググるとよろし.
どういう考え方があるのか,よくわかるで.
# 寄付した人の名前を出すってのは昔から広く行われている手法で,日本だとお寺や神社の寄進なんかがそうだね.
Re: (スコア:0)
個人レベルでの損得考えるほど莫大な金額を寄付する人なんてごく一部でしょ。
一般レベルでは、これで美味しいものでも食べて欲しいなぐらいの気持ち。
だいたい企業に所属せず、FOSS開発だけで食っていけるレベルの金額を必要とする
ソフトなんて有象無象のFOSSでは少数派だよ。
寄付が集まらない最大の理由は「めんどくさい」。
Re: (スコア:0)
あなたの最大の理由をいわれても…
やってみました (スコア:3)
日本円でも出来たんで、5000円程してみました。
大した足しになるわけではないですけど、昔mewのメールの暗号化でずいぶん見た記憶があったので。
オンラインの寄付は楽なんですが、10,000円を誤って100,000円でやっちゃったこともあるんで注意しないとまずいですよねw
Re: (スコア:0)
>> 12万ユーロを超える寄付が集まった
> オンラインの寄付は楽なんですが、10,000円を誤って100,000円でやっちゃったこともあるんで注意しないとまずいですよねw
それだ!
120000 ユーロ (EUR) = 16165204.35 日本円 (JPY)
# そんな残高ないわな
Re: (スコア:0)
この間GIGAZINE [gigazine.net]の記事で見て、自分も寄付してみた。
けど、そこのリンクからだとユーロだけだった、ような?
Re:やってみました (スコア:3)
「other」で自由金額を入れる箇所にドロップダウンがあって、そこでYenが選べました。
Re: (スコア:0)
自分も寄付した。
公式サイトからだけど、1000円のつもりだったから、しっかりJPYを確認した。何度もw
間違えて$1000とかだったら痛すぎるし。
OpenSSLの時にも思ったけど (スコア:0)
全体として、額が小さいよね。
5万ドルとか、6万ドルとか、一人分の給料もまかなえない程度。
全部足しても、プログラマ二人なら結構ぎりぎりだと思う。
# かといって私が援助できるほどお金があるわけでもないんですが。
Re:OpenSSLの時にも思ったけど (スコア:1)
でも、オープンソース系はコミュニティベースだったりが多いし、フルタイムの専業プログラマがついてるって、よっぽど大きなプロジェクトじゃないとないんじゃない?と思ったり。
本業を持ちながら片手間でコツコツやってくれてたのかと思ってた。
FacebookとStripeの10万ドル+寄付で2人分くらいは確保できそうだし、少しは安定するかな。
まぁこれほどの重要なソフトウェアを開発してる人なら、普通Googleとかいって10万ドル以上もらったりできるんだろうけど、自己犠牲というか、OSSの責任感なのかな。頭が下がる。
Re: (スコア:0)
高貴なる者の義務にはならんか
でもカネと暇とプログラミングできる知性が無いと続けられないのは確か
OSSであってもなんらかの収益をあげられるモデルにするのは
エコシステムを築く上でも必要
基金化しない/できない理由 (スコア:0)
お世話になってる大企業もそこそこあるとして、ファンドにできない理由はなんなんでしょうね。
政府に目付けられそうだから企業側が二の足ふんでる?
基金化に必要な事務の透明化が負担大きすぎて当人が拒否ってる?
他にもいろいろ思いつきそうですが、自分の数千円だけでなく持ってる人の資金も投入されるといいなあ。
Re: (スコア:0)
開発者本人が本気でスポンサーを探せば、著名なソフトなわけだしそれほど資金集めは難しく無いと思うんだけど。
グローバルなセキュリティ系の企業とか(Sym*ntecとか)なら、「GnuPG開発者が社員にいます」ってだけで広告効果があるだろうから、業務のほとんどを開発に充てても十分ペイすると思うんだが、、、きっと本人にそういう売り込みをする気があまり無いんだろうな。
Re: (スコア:0)
グローバルなセキュリティ系の企業とか(Sym*ntecとか)なら、「GnuPG開発者が社員にいます」ってだけで広告効果があるだろうから、
無いでしょ。
今時会社なり社員なりがOSSにコミットしたとしても、それを広告効果のある宣伝と捉える奴なんかいるかっての。
Re: (スコア:0)
オープンソースを使って商売してる会社なら「うちにはコミュニティーに参加してコアな開発部分に参加している社員がいますから」とか言えそう。
Re: (スコア:0)
GnuPGについてそれは無いんじゃないかなあ
セキュリティー会社にバックドア仕掛けられそうでソフトウェアの存在意義すら
怪しくなる
いやね破壊的なウィルスや漏洩が発生すると株価が上がるような会社ですし
Re: (スコア:0)
実際に、金が無いって言っただけでそれなりの資金が集まったしね。
で、大元のPGPはどうなっているの? (オフトピック:-2) (スコア:0)
自由に使えるPGPはどうなっているんでしょう。
Re: (スコア:0)
Symantecに買われてその後はどうなってるのやら…
まあ、OpenPGPとしてRFCで規格化され、GnuPGだけでなくモバイルデバイス向けの実装の開発も進んでるから、PGP本家が無くなってももう困らないけどね
オープンソースは金にならない=持続可能とは言えない (スコア:0)
施しを受けないと存続できないプロジェクトって失敗の烙印を押されても仕方ないと思うが。
いっそプロジェクトの完了(中断ではない)を宣言して止めてしまってもよかったんじゃねーの。
Re: (スコア:0)
金にならないというより、存在が認められていないから、自死の選択がいいのかも知れないのかなぁ、と書くと議論があらぬ方向になって問題だけど敢えて書く。
寄付という方法ではない別の方法も考えないとならないのだと思う。
ビジネスというより、利用する際の手続きがそこらの店でサービスや物を容易にできるようなオープンソースモデルを真剣に考えないと、いろいろなプロジェクトが、特定の個人の生活や技術に負担がかかってしまっていることが問題だと思う。開発者の使命感などが続いている場合はいいけど、人間だから生活があるから、それに不安があるとうまく行くのもいかなくなる。その技術や物は必要だけど、金で頓挫するということは、オープンソースに限らなくあるし、難しい問題だ。
どのくらいの人が、GnuPG を使っているのだろう。使うと、文字化けしていますとか、何もありませんとか、返信されるし、まっ、返信があればいい方で、大抵は、スルーされ、無視されているのが現状だから、やはり、いろいろな意味で必要ないものなのだろうか、と考えさせられる。黙々とやっている人たちに感謝する。
Re: (スコア:0)
広告料や売上が無いと存続できないプロジェクトも失敗の烙印が押されるんでしょうか。
存続できるだけの寄付を集めることが出来るってのはそれだけ必要性が認められているってことだと思うけど。
むしろ、同額の売上をあげるよりハードルは高い気がする。
Re: (スコア:0)
広告料や売上が無いと存続できないプロジェクトも失敗の烙印が押されるんでしょうか。
当たり前だと思いますが。
スタッフは霞を食って生きろというタイプの方でしたら何も申し上げる事はございません。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
施しを受けてる時点で金になってる。