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GNU is Not Unix

AGPLv3 に Commons Clause を追加するとオープンソースライセンスでなくなるか 34

ストーリー by nagazou
シン・オープンソース 部門より
headless 曰く、

ライセンスに AGPLv3 と Commons Clause を組み合わせたソフトウェアをオープンソースと呼べるかどうかについて、米連邦地裁と控訴裁判所が判断を誤ったと Software Freedom Conservancy (SFC) がブログ記事で指摘している (SFC のブログ記事The Register の記事)。

この裁判はグラフデータベースソフトウェア Neo4j を開発する米 Neo4j Inc., とスウェーデン子会社が元パートナー企業を訴えているものだ。Neo4j は GPLv3 ライセンスで機能制限あり・サポートなしの Community Edition と、商用向けの機能を多数追加した Enterprise Edition (EE) が提供されている。被告の PureThink は Neo4j と EE の販売・サポートを行うパートナー契約を結んでいたが、顧客へのライセンス供与に関する契約違反によりパートナー契約を打ち切られたという。

元々 Neo4j EE は有償の商用ライセンスと、非商用向けに無償の AGPLv3 ライセンスで提供されていたが、バージョン 3.4 では無断の販売やサービス提供を防ぐため、オープンソースライセンスとみなされなくすることを意図して無償ライセンスを AGPLv3 + Common Clause に変更した。しかし、それでも被告の PureThink などは EE をフォークした Open Native Graph DB (ONgDB) を EE 代替のフリーでオープンソースなソフトウェアなどと主張して販売を続けたという。そのため、Neo4j は商標権侵害や虚偽の広告、不正競争防止法違反などを理由に PureThink などを提訴し、バージョン 3.5 では商用ライセンスのみに変更した。

Commons Clause はライセンシーにソフトウェアの販売を禁ずる条項で、オープンソースライセンスに追加することを意図して作られているが、追加するといわゆるオープンソースライセンスとはみなされなくなる。一方、AGPLv3 ではより厳しい制限を課す条項の追加を禁じており、追加されている場合は削除できると定めている。被告側はこの点で Commons Clause を削除できると主張したが、1 審のカリフォルニア北部地区連邦地裁では AGPLv3 がより厳しい制限の追加を禁じているのはライセンシーに対してであり、ライセンサーに対する制限ではないと判断。ONgDB をフリーでオープンソースな EE の代替だと主張することなどを禁ずる事前差止命令を含む部分的な略式判決(PDF)を出した。

今年 2 月には連邦巡回区第 9 控訴裁判所が 1 審判決を支持する判決(PDF)を出しており、Open Source Initiative (OSI) はオープンソースライセンスでないものをオープンソースと呼ぶことを禁じる画期的な判決とする一方で、AGPLv3 ではより厳しい制限をライセンシーが削除できる点が無視されていることを示唆していた。

今回、SFC のブログ記事は AGPLv3 の共同起草者である Bradley M. Kuhn 氏が執筆している。AGPLv3 第 7 条第 4 段落 (※) ではライセンシーが受け取ったソフトウェアのライセンス条項から AGPLv3 で定めるものよりも厳しい制限を課す条項を削除できること、この条項は今回 Neo4j が試みたようなことを防ぐために存在すること、元のライセンサーが対象外なら条項の存在意義が薄れることなどを指摘。AGPLv3 では一部の条項だけを抜き出して新たなライセンスを作ることを認めているにもかかわらず Neo4j は全文の使用を選択したのであり、Commons Clause の削除を止めることはできない。そのため SFC は市民の義務として、裁判所の結論が間違っていることを世間に知らせる必要があるとのことだ。

※注: 第 3 条第 4 段落と表記されている部分もあるが第 3 条は 2 段落しかなく、内容から見て第 7 条第 4 段落の誤記とみられる

  • by Anonymous Coward on 2022年04月06日 20時05分 (#4228060)

    7. 追加的条項

    他の非許可的な追加的条項は下記第10項が意味するところの「さらなる権利制限」(further restrictions)とみなされる。あなたが受領した『プログラム』、あるいはその一部に、それが本許諾書とともにさらなる権利制限である条項によっても管理されていると述べた告知が含まれている場合には、あなたはそういった条項を削除して構わない。あるライセンス文書にさらなる権利制限がふくまれているが、しかし本許諾書の下での再許諾や伝達を許可しているならば、あなたはそのライセンス文書の条項によって管理されている一部分を『保護された作品』に追加することができる。ただしその場合、さらなる権利制限はそのような再許諾や伝達では無効としなければならない。

    10. 下流の受領者への自動的許諾

    あなたは本許諾書の下で授与された、あるいは確約された権利の行使に対して、本許諾書が規定する以上のさらなる権利制限を課してはならない。たとえば、あなたはライセンス料、ロイヤルティや他の料金を、本許諾書の下で認められている権利の行使に関して課してはならない。また、あなたは『プログラム』やその一部の作成、利用、販売、販売の申し出、取り込みによって何らかのパテントクレームが侵害されたとして、訴訟(訴訟における反対請求ないし反訴を含む)を開始してはならない。

    八田真行氏によるGNU Affero General Public License の非公式な日本語 [mhatta.org]より

    ここに返信
    • by Anonymous Coward

      ここはどう?

      本許諾書の他の条件に関わらず、あなたが『保護された作品』に追加した一部分について(その部分の『コピーライト』保有者らによって正式に許可されていれば)、本許諾書の条項を、以下に示す条項で補足することができる:

      a) 本許諾書第15項および第16項の条項とは異なった形で保証の否認や責任の限定を主張する。あるいは、
      b) 追加した一部分において、明示的で妥当な法的告知や作者特定の保全、またはそれを含む作品において『適切な法的告知』の表示を要求する。あるいは、
      c) 追加した一部分の出自を不当に表示することを禁じるか、あるいはそのような一部分の改変されたバージョンはオリジナルのバージョンとは異なっているということを適切な方法で印づけることを要求する。ある

    • by Anonymous Coward

      ようするにAGPLv3ではなくNeo4jの「本許諾書」って何ですかって話だと思うよ。

  • by Anonymous Coward on 2022年04月06日 18時01分 (#4227991)

    Neo4j Inc.,がすべての著作権を持っている限りNeo4j Inc.,にとって都合の良いライセンスで配布できるわけだし、そういうものなのでは?
    Neo4j Inc.,が敗訴していたとしても次のバージョンでAGPLをやめてプロプライエタリライセンスに切り替えられたらどうしようもない。
    (実際「バージョン 3.5 では商用ライセンスのみに変更した。」って書いてあるし)
    例えばNeo4jが第三者からの貢献によるAPGLコードを受け入れているにもかかわらずCommons Clauseを追加したというのであれば、それはコピーレフトの理念に反するし、それを防ぐためにAGPLv3第7条があると言えるけど、今回そこで争った話ではないんだよね?

    ここに返信
    • by Anonymous Coward

      「AGPLの面して、余計な制限を加えるな(許諾内容を減らすな)」という話では?

      • by Anonymous Coward

        AGPLの面をするのが悪かったのなら単にライセンス名称の問題ということで済む

        • by Anonymous Coward
          • by Anonymous Coward

            SFCはブログの中で「名称の問題ではない」と念を押している("In this instance,"で始まる段落)
            あくまで条項の問題である、と言いたいようだ

            • by Anonymous Coward

              GPLの「前文」と、GPL自体の著作権について説明しておけばよかった・・・

    • by Anonymous Coward

      SFCの主張がまさに「AGPLv3 では一部の条項だけを抜き出して新たなライセンスを作ることを認めているにもかかわらず Neo4j は全文の使用を選択した」というもので、AGPLv3と矛盾するからCommons Clauseを追加するなら独自ライセンスにしろって話だよ。

      > 今回そこで争った話ではないんだよね?

      訴訟の方は元パートナー企業に対するものでSFCは直接には関係ない。
      そちらでの争点は「第7条があるからCommons Clauseは無効」というのが訴えられた元パートナー企業の主張。

      • by Anonymous Coward

        それはNeo4jが他の誰かからAGPLでライセンスされたソフトウェアについて言えることであって、
        全部一からNeo4jが作ったソフトウェアであれば、それは関係ないんじゃないの?
        っていうのが元コメ氏と裁判所の判断だと思うんだけど

        # AGPLのライセンスの文言そのものについてのライセンスを争うならまた話は別だけど…

        • by Anonymous Coward

          全部一からNeo4jが作ったソフトウェアでもAGPLでライセンスすることを選択することはできるし、
          Neo4jがAGPLライセンスでリリースすることを選択した以上はそのソフトはAGPLライセンスによって扱われる。
          Neo4jがAGPLライセンスで扱われることを望まないならそもそもAGPLでリリースするなってことだ。

          • by Anonymous Coward

            AGPL(v3)なら話は早かったんだけど、「AGPLv3 + Common Clause」という【AGPLv3のようでいてAGPLv3でないナニカ】だから揉めてるんだよねぇ

            • by Anonymous Coward

              AGPL+Common ClauseはAGPLに改変を加えたライセンスであって、
              それは明らかにAGPLではないものね
              あくまでNeo4jが純粋に自分たちだけでコードを書いた前提で考えるとき、
              誰が何の権利によってNeo4jにAGPLを強制するって言うんだろうね

      • by Anonymous Coward

        親コメのどこに「まさに」で繋がるのかよく分からんのだが、今回のケースに限っては別に矛盾はしてないと思う

        • Re:残当 (スコア:2, すばらしい洞察)

          by Anonymous Coward on 2022年04月06日 19時43分 (#4228046)

          Neo4jはAGPLv3でリリースしていて、それには第7条も含まれている。
          そしてAGPLの第7条ではCommons Clauseのような制約を追加しても無効だとしている。
          だがNeo4jはCommons Clauseに従わなかった元パートナー企業を訴えた。
          これは矛盾じゃないのかい?

          Commons Clauseを追加したいのなら(AGPLでライセンスされてる他者のコードを使用せず)AGPLv3から第7条を削除した上でCommons Clauseを追加した「AGPLもどきライセンス」でリリースすることも可能だったのにそれをしなかった、というのがSFCのつっこみ

          • by Anonymous Coward

            裁判所の言い分は「AGPLv3 + Common Clause」というライセンスに
            対して変更を禁じた第7条があると読めるということなのかな。
            つまり「AGPLv3 + Common Clause」は「AGPLv3 + Common Clause」という
            ライセンスであって「AGPLv3」に「Common Clause」加えたものじゃない?

            とにかくAGPLv3という名前を持ち出したNeo4jは悪いやつだと思いますw

            まあ、変なライセンスで出してくるやつには、そんなの無効だと思って
            完全コピー禁止と理解したほうが安全だよ……

    • by Anonymous Coward

      分かりやすく書き直すと、

      パターンA)Neo4j EEが自社開発コードのみで構成されていた場合
      →Neo4j社と裁判所の判断は正しい
      →PureThink社とSFCの主張は間違っている

      パターンB)Neo4j EEに第三者によるAGPLコードが混じっている場合
      →PureThink社とSFCの主張は正しい
      →Neo4j社と裁判所の判断は間違っている

      ってことよね。そして状況的にはパターンAっぽいよね(クローズドソースなので確認はできないけど)。

      • by Anonymous Coward

        他者のコードが混じっていようがいまいがNeo4j社が第7条も含んだAGPLライセンスでリリースした事実に変わりはないよ。

        • by Anonymous Coward

          そのAGPLv3第7条の解釈はちゃんと事前にFSFから周知されてたの?
          そうでないどうとでも取れる条項だから、今回の裁判の結果なんでしょ。

          • by Anonymous Coward

            解釈は裁判所がします。裁判所が意図通りに解釈するよう作るべきです。

  • by Anonymous Coward on 2022年04月06日 22時04分 (#4228099)

    オープンソース、フリーソフトのライセンス関係で訴訟起きたり、司法判断したり、
    日本で起きた例ってあるのかしらん

    ここに返信
  • by Anonymous Coward on 2022年04月06日 22時15分 (#4228103)

    AGPLv3自体に懲罰的な条項を加えよう。「ライセンサーやライセンシーによって追加されたライセンスや条項は、その内容を全て無視することができる。特にライセンサーが自身の意志において追加した場合は、追加された条項1文字1日あたりnドルFSFに寄付する」とか。

    ここに返信
  • by Anonymous Coward on 2022年04月07日 7時27分 (#4228183)

    これ結局、裁判所はAGPLv3の法的有効性の判断してるの?してないの?
    「ONgDB をフリーでオープンソースな EE の代替だと主張することなどを禁ずる」って、営業戦略を禁止されただけなのでは?
    Commons Clauseと商標関連を削除して、AGPLv3でONgDBをリリースし続けることは可能なんじゃないか?

    ここに返信
    • by Anonymous Coward

      Neo4jのライセンスが判断されたんでしょう。
      Neo4jのライセンスが無効なら、そもそもコピーできる根拠がなくなるのでコピーできなくなる。

      • by Anonymous Coward

        ???
        それだとライセンス者なしでパブリックライセンスになってしまうのでは?

        • by Anonymous Coward

          おいおい、ならないよ。
          著作物はデフォルトコピー禁止だから、著作者が何も許諾しなければコピー禁止。
          ライセンスしないんだからライセンス者なんかいない。
          ほぼ全世界の国々では、著作者は名乗りを上げる必要もない。

  • by Anonymous Coward on 2022年04月07日 8時44分 (#4228207)

    AGPLv3はFSFが著作権を持つ著作物なのだから、そのライセンス条文を採用するならばAGPLv3の使用権をFSFからライセンスされる必要がある。
    そしてCommons Clauseの条件を追加するのはAGPLv3というライセンス条文に対するライセンス違反に他ならず、FSFに対する著作権侵害となる。

    ここに返信
    • by Anonymous Coward

      一般的に契約書の類に著作権は認められないですね
      FSFはライセンス条文をGPLで配布しているけど念為的な紳士協定であって法的効力はないと思います

      • by Anonymous Coward on 2022年04月07日 11時06分 (#4228259)

        GPLのライセンス文書は「複製、頒布は許可なく行っていい。ただし改変は一切ダメ」なのでまったくGPLではありません。
        そしてAGPLv3のライセンス文書の方では「名前を変えてAGPLとは別のライセンスとするなら改変や一部パクりなどもOK」
        どちらにしろ

        > ライセンス条文を採用するならばAGPLv3の使用権をFSFからライセンスされる必要がある

        なんてことはなく、明記された使用条件の範囲内であれば許可を得なくても勝手にやっていいことになってます。

        • by Anonymous Coward

          まあ自由主義者は自由からの逃走を認めない人が多いからね。
          AGPLがそのへんゆるゆるなのはストールマンの影響力が弱まってからできたライセンスなのでストールマンの思想を反映してないとかそんなんだろう。

        • by Anonymous Coward

          > 明記された使用条件の範囲内であれば許可を得なくても勝手にやっていいことになってます。

          つまりそれはライセンスされているってことでしょ。
          ライセンス条文自体といえど明記された使用条件の範囲を超える使い方はできないわけだし。

      • by Anonymous Coward

        > FSFはライセンス条文をGPLで配布しているけど

        あ、ここ違ったかも。それはGFDLだったかな?
        まあとにかく著作権侵害とは認められにくいかと

      • by Anonymous Coward

        GPLはGNUの思想を体現した教典だから、立派に「思想又は感情を創作的に表現した」著作物だと思いまする。

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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い

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